「EU」質問コーナー
(ヨーロッパ誌2008年冬号・通巻第252号より)Q EUはG8サミットに参加していると聞きましたが、本当ですか
A 毎年開催される主要8カ国首脳会議(G8サミット)には、日本、米国、フランス、ドイツ、イタリア、英国、カナダ、ロシアに加えて欧州連合(EU)が参加しています。
そもそもサミットは世界的な経済問題について主要国首脳が討議する場として設けられたもので、第1回目の会議は1975年11月、パリ郊外のランブイエ城でフランス、ドイツ、イタリア、英国、日本、米国の6カ国の首脳が参加して開かれました。翌76年のサンファン・サミット(プエルトリコ)からカナダが参加し、参加7カ国のG7サミットとなりました。EU(当時はEC)は、77年のロンドン・サミットから参加しています。
94年のナポリ・サミット以降、首脳会合の政治討議にロシア大統領が参加するようになりました。97年のデンバー・サミット以降、ロシアは世界経済、金融等の一部のセッションを除き、基本的にすべての日程に参加することになり、98年のバーミンガム・サミットから従来のG7に代わり、G8という呼称が使用されるようになりました。
G8サミットでの討議内容は、その発足から今日までの間に大きく変遷し、マクロ経済、貿易といった経済問題から、雇用、環境、犯罪や麻薬、人権、軍縮といった社会問題や安全保障問題へと拡大されています。
昨年6月のハイリゲンダム・サミット(ドイツ)では、気候変動やエネルギーといった地球規模の課題はG8に限られたものではなく、いわゆる「新興経済国」との協力と対話を通じた取り組みが不可欠であるという理由から、G8議長国ドイツのメルケル首相は、新興経済国5カ国(中国、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカ)の首脳を招待しました。また、アフリカにおける成長と責任がG8サミットにおける優先的な課題であることから、アフリカ諸国の首脳も招待されました。
Q EUは国家ではないのに、どのような役割や立場で参加しているのですか
A 前述のように、EUの主要国サミットへの関わりは、1977年のロンドン・サミットへの当時のEC委員会(現欧州委員会)委員長と閣僚理事会議長の参加にさかのぼります。サミットの議題に、加盟国からECに権限が移譲された通商、農業政策等の政策分野が含まれているというのがその理由でした。
その後、欧州委員会はサミットの準備会合にも徐々に参加するようになり、最終的にはG8のメンバーとして政治討議にも招聘されるようになりました。そして、域内単一市場の創設、ECからEUへの発展、経済通貨同盟(EMU)の完成、共通外交・安全保障政策(CFSP)の進展等が、G8におけるEUの重要性を高めることとなりました。
EUは、27カ国からなる他に例を見ない超国家機構であり、加盟国のような主権国家ではありません。そのため、サミットの名称もG9ではなくG8(主要8カ国)となっています。同じ理由から、EUがG8の議長国を務めることはありません。
Q G8サミットでは、誰がEUを代表しているのですか

A G8首脳会合において、EUは欧州委員会委員長と欧州理事会議長によって代表されています。欧州委員会委員長は加盟国から主権を移譲された政策分野(経済・環境・労働など)でEUを代表し、欧州理事会議長は共通外交・安全保障政策に関わる議題について発言します。理事会議長国がG8のメンバーではない場合、首脳会合には当該議長国の首脳も参加します。英国、フランス、ドイツ、イタリアのいずれかが理事会議長国の場合、同国の首脳は国の代表とEUの代表という2つの立場で参加することとなります。
2006年7月にロシアのサンクトペテルブルグで開かれたG8の首脳会合には、EUを代表してバローゾ欧州委員会委員長と当時の理事会議長国であるフィンランドのヴァンハネン首相が出席しました。今年7月に開催される北海道洞爺湖サミットの首脳会合には、2008年下半期の理事会議長国であるフランスのサルコジ大統領が、サミットの正式メンバーという立場に加え、バローゾ欧州委員会委員長とともにEUを代表するという立場でも参加します。
EUはサミットにおいて、議長国を務める権利を除いて、メンバーと同等の権利と義務を有しています。2008年の前半に日本で開催が予定されているG8サミット関連閣僚級会合(本号の巻頭言参照)やシェルパ(首脳個人代表)による準備会合に欧州委員会の関係委員や欧州委員会委員長のシェルパが参加するのはそのためです。
