日・EU間の政治協力の推進
政治対話は日・EU関係におけるきわめて重要な要素….
ポスト冷戦の時代では、国際政治情勢は目まぐるしく変化し続けています。その結果、世界のパートナー間の緊密な政治対話と協力がますます必要とされているのです。
このような新たな地政学的環境においては、経済・貿易に関してEUと日本が有している力、そしてそのような分野において古くから確立している日・EU協力関係は、日本とEUが協議することや、共有の国際責任に対する共通の姿勢を持つことが、理にかなってもおり、且つ望ましいということを意味します。
1991年の共同宣言で定められ、2001年の行動計画で一新
日・EU間の協議と共同の取り組みの必要性は、「日本国と欧州共同体およびその加盟国との関係」に関する1991年の日・EC共同宣言に示されています。この宣言はあらゆるレベルでの日・EU間の政治対話の目的と枠組みを打ち出しました。このような原則へのコミットメントは、1991年以降開催されている日・EU定期首脳協議の場で確認されています。
1991年宣言は、自由、民主主義、法の支配及び人権を含む多くの共有する原則と市場経済原則の重視に基づいた共同の政治目的を打ち出しています。これらの目的は、ポスト冷戦期における世界の安定を指向するEUと日本の共通した願望を反映したものです。
日・EU対話の目的は国際的・地域的緊張の交渉による解決を推進するための協力の改善、開かれた多国間貿易システムの強化、そして発展途上国が世界のシステムに参画することを支援することにあります。こうした目的を追求するために日・EU間に設けられた枠組みの主なものは次の通りです。
このような枠組みにおいて日・EU政治関係は自然な形で発展
経済的相互依存により、世界的・地域的問題と安全保障問題の対応において、日本とEUは互いに相手への関心を深めてます。
外交問題に関する日・EU協力は広範囲な問題を包括するようになりました。日・EU首脳協議や閣僚会議の場で行われる意見交換の準備は、実務者レベルで行われています。
政務局長会議は日・EU政治関係の内容を発展させます。双方の政務局長は、ロシアや旧ユーゴ問題からアジアの安全保障といった重要な国際問題に関し幅広い意見交換を行っています。
EUトロイカと日本の作業グループ会合では、アジア・オセアニア、中東和平プロセス、東欧と中央アジア、それに旧ユーゴとアフリカに関する具体的な分析と情報の交換に焦点が当てられています。
多くの主要問題に関する非公式な政治対話も東京を舞台に進められています。これは「政治的協力の文化」を日・EU間に発展させ、具体的な協力に向けてどのようなプロジェクトが可能か、を特定してゆく作業を通して日・EU関係を強化しようというものです。
欧州議会もまた、毎年恒例の日本・EU議員会議などの場を通じて、日・EU関係の発展において重要な役割を果たしてきました。議員会議の開催は20回を超え、日本の国会議員との関係を築くことのみならず、日本で意思決定を行う人々の念頭にあるEUの政治的存在を高めることにも貢献しているのです。
日・EU政治協議の焦点は欧州とアジアの動向
これまで日・EU政治対話の対象は、主としてそれぞれが属する地域の問題に集中しており、今日では、日本とEUは相手が属する地域で前向きかつ積極的な役割を果たすようになりました。日本の旧ユーゴの再建に対する支援(ボスニア・ヘルツェゴビナの再建向けに8億米ドルの支出約束)、最近発表されたコソボと周辺国への2億米ドルの支援はこうした傾向の具体例です。同様なことが朝鮮半島における核拡散防止へのEUの支持やアジア金融危機克服のためのアジア諸国に対するEU支援についてもいえます。(アジア金融危機に対するEU全体の支援は、現時点で日本に次いで二番目です。)
朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の設立は、EU、日本、アメリカ、韓国間の多国間協力の好例といえます。KEDOは北朝鮮における核拡散の危険を減少させ、核エネルギーの平和利用を推進する必要性から設立されました。KEDOは、この地域の平和と安定に寄与するに違いありません。
2001年行動計画は政治面での協力を拡大
2001年12月8日、ブリュッセルにて採択された「日・EU協力のための行動計画」は軍備管理、軍縮、不拡散、紛争予防、平和構築、人権、民主主義、安定といった政策などの平和と安全の推進を含む領域での日・EU間の政治的側面を強化するものとなっています。
日・EU政治関係は新たな世界的課題に呼応する形で進展しています。例えば2001年9月11日に発生した米国同時多発テロは、双方のテロとの闘いへの対応に焦点を当てるものとなりました。EUは日本との政治対話の幅が広がりと深みを増し、さらにそれに対し、日欧双方がさらに本腰を入れて取り組んでいくことを歓迎しています。互いが既存の制度的枠組み全般を通じて柔軟な対応を維持していくことで、世界政治における新たな地球規模の課題がもたらす問題にも対処することができるでしょう。
政治協力は、時に政策調整という運用上の成果につながることがあります。これは特に実務者レベルで緊密な対話が展開されている分野において言えることです。こうした対話により、欧州原子力共同体(EURATOM)のKEDO加盟や、国連の武器登録制度の導入につながったEUと日本の共同提案に見られたような日・EU協力の進展が可能となるわけです。
欧州委員会は、日・EU政治対話はさらに強化されなければならないと考えています。特に北朝鮮の政治・安全保障情勢、アジア地域における中国の役割の展開、アジア安全保障構造の変化、アジアに対する一方的な対第三国政策の影響、について必要といえましょう。
1991年以来日・EU政治関係は長い道程を歩んできました。しかし双方とも政治関係の潜在性をまだ完全に実現しえていないと考えています。今重要なのは、日・EU政治関係を双方の経済に影響を及ぼすようなレベルにまで高めていくことです。EUと日本は、このような目標を達成するために新たな政治的コミットメントとエネルギーが必要であることを認識しています。
アムステルダム条約後EUトロイカの構成が変わり、通常はEU理事会議長、EU共通外交・安全保障政策担当(CFSP)上級代表ならびにCFSP担当欧州委員会委員がトロイカを構成するようになりました。
