EU郵便市場
EU郵便市場の完全自由化
欧州委員会は2006年10月18日に、真の意味での「単一市場」を実現するため、欧州連合(EU)域内の郵便市場を、現行の郵便指令に規定されている通り2009年までに完全に開放することを提案しました。郵便サービスの提供が消費者にとって重要な関心事であることを考慮し、最もよく聞かれる質問に対する回答を以下に記します。
具体的には、何が変わるのでしょうか
現在、EUのほとんどの国では、通常の郵便で手紙を送ったり、受け取ったりする際には、その国の郵便事業者を利用せざるを得ません。一定の大きさや重さ以下の定形郵便は、これらの郵便事業者が独占的に扱っているからです。しかし、2009年からは状況が一変します。複数の企業が新たに市場に参入し、競合の上、郵便物を利用者へ直接配達できるようになります。これが「完全な市場開放」の意味するところで、長い改革プロセスにおける次の一歩となるものです。この一連の改革ではすでに速達や小包の扱い等、EUの郵便市場の大部分が競争に開放され、非常によい効果が出ています。
広範な調査・研究に基づき、我々は、定形郵便物の扱いを競争に開放することによって同様の成果が得られると確信しています。各国の郵便事業者は、一層顧客志向を強めるようになり、革新的な新サービスや新製品の開発への道も開けるようになります。しかし、もしも市場が完全に開放されないのであれば、各国の郵便市場は、情報通信革命がもたらす難題にますます対応しきれなくなることでしょう。
市場開放後も現在と同様に郵便物を送ったり、受け取ったりすることができますか
今後も、同一国内は一律の低料金で手紙を送ることができます。また、平日は毎日、郵便の配達が行われます。「ユニバーサルサービス」と呼ばれるこれらの基本的なサービスは今後も変わりません。さらに、市場の完全自由化によって消費者保護はより充実し、各国の規制当局が有する監視の権限も増えるので、高品質で信頼できるサービスが保障されます。
新サービスとしては、どのようなものが提供されますか
完全な市場開放が実現すれば、郵便事業者は、郵便物の授受の方法についても、より革新的なサービスを提供できるようになります。例えば、次のようなサービスが導入される可能性があります。
- 一部の小包配達会社がすでに提供している「トラックアンドトレース(郵便追跡サービス)」
- 通常の郵便とEメールを組み合わせて、ボタンひとつで電子文書を郵便で送付したり、または、手紙を郵便で受け取る際に先にEメールで受けたりすることを可能にするサービス
- 小包の発送・受け取りに24時間対応できる「小包自動処理ステーション」
- あらかじめ郵送料支払い済みの印を押した封筒、また、今までにない革新的な大きさや形式の郵便物の取り扱い
- 小包の配達予定時間および配達先、または配達完了のお知らせをEメールやショートメッセージサービス(SMS)で受けるサービス
- 配達時間や場所を、利用者のニーズや都合に応じてより調整可能なものにするサービス
郵便ポストや郵便局もこれまで通り使えますか
今後も、これまでと同様、自宅から一定の距離内にあるポストを利用することはできます。また、郵便局も依然として地域社会の中心であり続けます。これまでと違う主な点としては恐らく、各国の郵便事業者がこれまで以上の郵便サービス拠点を、スーパーマーケットや商店、ガソリンスタンド等、さらに便利な場所に設置するであろうということ、移動郵便局という形では観光地や行楽地にさえも臨時の拠点を設置するだろうということです。また、これらのサービス拠点は、現在よりも営業時間が長くなるでしょう。
自国の郵便事業者が倒産する危険性はないのでしょうか
ありません。各国の郵便事業者は、今後何年にもわたり存続するでしょう。これらの郵便事業者のほとんどは、現在もかなりの利益を上げていますし、これまでの経験から見ても、市場開放は事業者の顧客志向、効率、信頼性を高めることがわかっています。また、市場の完全自由化の後にも、これらの事業者が短期的に厳しい状況に陥った場合には、その事業者を支援するための特別な資金や措置も用意されます。
競争による郵便料金への影響は?
過去数年は、燃料や輸送費の上昇に伴い、ほとんどのEU加盟国で郵便料金も上昇しました。消費者市場においては、市場開放後も、短期的には上昇傾向が続く可能性がありますが、各国の郵便事業者の厳密な管理の下、消費者に過度の負担をかけない範囲にとどまるでしょう。従って、料金が引き上げられるとすれば、それは市場が競争に開放されたことによるものというよりは、やはり輸送費等の上昇によるものであると言えるでしょう。長期的に見た場合、料金は下がると思われます。また、取り扱い量の多いビジネス郵便の料金については、新しく参入した郵便事業会社がこの分野に力を入れることを考えると、市場開放後すぐにも下がる可能性が高いでしょう。
今後も切手は使用されますか
各国の郵便事業者は、今後も引き続き切手の発行を行います。企業も独自の切手を発行するか、あるいは、糊付きラベルやあらかじめ料金支払い済みの封筒など、独自の方策を開発するかもしれません。EU全域で通用する切手の発行は予定されていません。しかし、複数のEU加盟国で事業を展開している企業が、それらの加盟国すべてにおいて有効な切手を発行することは考えられます。
この件について、さらなる情報をどこで得ることができますか
完全な市場開放に関する情報ならびに各国の郵便事業者および規制当局のサイトへのリンクについては、欧州委員会の次のウェブサイトをご覧下さい。http://ec.europa.eu/internal_market/post/index_en.htm(注:EUの公用語のみ)